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量子乱数を活用した「量子コンピュータ耐性AIプラットフォーム」を構築

 EAGLYS株式会社(イーグリス、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:今林 広樹、以下「EAGLYS」)、三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:堀 健一、以下「三井物産」)、Quantinuum (クオンティニュアム、本社:米国コロラド州ブルームフィールド市、 CEO: Rajeeb Hazra、以下「Quantinuum」)の3社は、世界初となる量子乱数を活用した「量子コンピュータ耐性AIプラットフォーム」を構築しました

EAGLYSと三井物産は、2022年より、異なる事業者間で安全性を維持したまま機密データとAIモデルを共有・連携することが可能な秘密計算プラットフォームの構築と社会実装に取組んできました(*1)。今回、Quantinuumが参画することで、今後懸念される量子コンピュータを悪用した攻撃に対してもより高度なセキュリティ環境を実現する、「量子コンピュータ耐性AIプラットフォーム」の共同提案を加速します。
 具体的には、EAGLYSの秘密計算プラットフォーム「DataArmor(データアーマー)」に Quantinuumの量子サイバーセキュリティ製品 「Quantum Origin(クオンタム・オリジン)」が生成する量子乱数を統合し、量子コンピュータによる将来の解読リスクに備えながら、AI活用可能なサービスを提供します。

1.背景

 量子コンピュータは、2035年には約100兆円規模の価値創出が予測されており(*2)、実用化に向けて急速に技術開発が進められていますが、同時に量子コンピュータによる暗号アルゴリズムに対する新たな脅威が予想されています。一例として、現在広く普及している暗号アルゴリズムのひとつであるRSA 暗号方式(*3)が将来的に解読され、秘匿データが露見するリスクが指摘され、悪意のある第三者による「Hack now, Decrypt later(*4)」と呼ばれるサイバーセキュリティ攻撃等に対する注意喚起がなされています。このような脅威への対策として、量子コンピュータ時代を見据えた暗号アルゴリズムや暗号鍵を利用したデータならびにAIの保護は、産業界にとって喫緊の課題となっています。

2.世界初となる量子乱数を活用した量子コンピュータ耐性AIプラットフォーム

化学素材開発や創薬、金融、リテール等の産業領域では、異なる事業者間での安全性を維持したまま機密データとAIモデルを共有・活用するニーズが高まっています。今回、量子コンピュータに対し数学的安全性を有する格子暗号をベースとした完全準同型暗号と、Quantum Originの量子乱数を組み合わせ、「秘密計算x量子技術」による量子コンピュータ耐性AIプラットフォームを構築いたしました。今後、本プラットフォームを活用したユースケース検討・創出に3社で取り組んでまいります。

量子コンピュータ耐性AIプラットフォームイメージ

■DataArmor GateAIについて
 EAGLYSの準同型暗号技術を利用した秘密計算プロダクト。AIモデルの学習推論、データ入出力処理を暗号状態で実行可能なため、AIを利用したサービスのセキュアな構築が可能。アメリカ国立標準技術研究所(NIST)が標準化を進める耐量子計算機暗号(PQC)候補である「格子暗号」ベースでの準同型暗号を利用している。
サービス紹介ページ:https://eaglys.co.jp/product/gate-ai/

■Quantum Originについて
 Quantinuumが開発した量子コンピュータを利用した暗号鍵プラットフォーム。量子コンピュータ由来の予測不可能な乱数を生成することが可能で、非常に強固な暗号鍵を提供するサービス。既存の暗号アルゴリズムだけでなく耐量子計算機暗号(PQC)にも対応。
サービス紹介ページ:https://quantinuum.co.jp/business/origin/

*1 EAGLYS・三井物産で秘密計算PoCを実施|EAGLYSのプレスリリース (2022年11月 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000041103.html)
*2出典: Boston Consulting Group “Quantum Computing Is Becoming Business Ready” (2023年5月)
*3 RSA暗号: 公開鍵暗号方式等に広く活用される、素因数分解の難しさを利用した暗号アルゴリズム
*4 “Hack now, Decrypt later”: 現在ネットワーク上にある大量の暗号化されたデータを収集し、将来高性能な量子コンピュータが実用化されてからその暗号データを解読する、サイバー攻撃手法

■ 本リリースに関する各社コメント

【三井物産株式会社】 総合力推進部 量子イノベーション室 室長補佐 (技術統括) 難波田 康治
今回の共同検討を通じ、安全なデータ共有・活用を実現するEAGLYSの秘密計算技術と、Quantinuumの量子サイバーセキュリティ技術を掛け合わせ、新たな価値創出を実現可能な「量子コンピュータ耐性AIプラットフォーム」として提示できたこと、量子コンピュータ実用化に伴う脅威への備えとして、今後ますます重要なソリューションになるものと確信しております。
引続き両社と連携し、顧客企業における「秘密計算x量子コンピューティング」による新たな価値貢献を実現すべく、注力してまいります。

【Quantinuum】 Head of Cybersecurity, Duncan Jones
暗号鍵を強靱化することは、ポスト量子の時代にセンシティブなデータを保護する上で非常に重要であり、Quantum Originは検証可能な方法で鍵を強化する世界で唯一の製品です。EAGLYSは、Quantum Originと組み合わせることで量子技術の進歩に対応し、顧客の暗号化データの将来にわたる保護をご提供することになります。

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