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AIを用いた機械学習は製造業や飲食業、医療業界などさまざまな分野で活用されていますが、具体的なアルゴリズムやモデルが使われているか認識することなくAIが組み込まれた製品を使っているケースが多いのではないでしょうか。
この記事では、AIと機械学習の関係性やディープラーニングとの違いを解説しますので、AIや機械学習を業務に取り入れたい方は、ぜひご参考ください。
AIとは
AIとは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では「人工知能」と呼ばれます。AIはコンピュータシステムですが、人間の知能と同等の処理能力が備わっているのが特徴です。2000年代にインターネットが普及したことでさらに大きな技術進歩を遂げています。
AIの分類
AIはいくつかの特徴で分類でき、自立した意識を持つものを「強いAI」、自意識はなく限定的な思考を持つものを「弱いAI」としています。また、人間のように幅広い処理ができるAIを「汎用型AI」、限定的な処理に対応するものを「特化型AI」と呼びます。
AI研究の歴史
これまでにAIブームは3回起こっています。
1950~60年代にかけて起こった第一次AIブームは、コンピューターに人間のような「推測(探索)」をさせる技術が発達しました。第二次ブームは1980年代で、コンピューターに知識を覚えさせることによって答えを導き出すようになりました。近年は第三次AIブームと呼ばれ、機械が自ら学習し結論を出す時代へ進化してきています。
機械学習(マシンラーニング)とは
マシンラーニングとは、AIに膨大なデータを学習させ、人間と同様な判断や思考をさせる技術です。AIは膨大なデータをもとに、思考するように判断・予測します。人手では処理が不可能な大量のデータにも対応できるのがメリットです。
機械学習のアルゴリズムは、大きくわけて3種類あります。
教師あり学習
教師あり学習は、主に正しい答えのある問題の答えを導き出す学習方法です。
まずはコンピューターに入力値と正解をセットで学習させ、その後に学習済みのデータをもとに機械が正誤や正しい回答を判断していきます。
教師なし学習
教師なし学習は、正解がない問題について用いられる学習方法です。
データを学習してもどれが正解といったことではないので、予測や判定に用いることはできません。主な特徴の抽出や明確な答えを与えずにグルーピングする(クラスタリング等)際に用いられます。
強化学習
強化学習は、教師あり学習の応用形となる学習方法です。コンピューターの予測結果に対して「報酬」と呼ばれるデータを与えることによってコンピューターが自らの判断の良し悪しを判定し、そこから新たな学習をしていきます。
機械学習と深層学習(ディープラーニング)の違い
ディープラーニング(深層学習)とは、AI自らがデータから読み取れる特徴や規則性、傾向値を見つけて学習します。例えば「自動車」の画像データに対して自動車の「形」を登録して学習させる場合、機械が画像データを認識したとき「形」が登録したものと違うと「自動車以外」として判断するのです。
ニューラルネットワークとは
ニューラルネットワークは、ディープラーニングに用いられる技術のひとつで、人間の脳の神経細胞である「ニューロン」を模したアルゴリズムです。データの読み込み(入力層)、特徴の学習(隠れ層)、分析結果の出力(出力層)で構成され、特徴学習を何層にも重ねることで複雑な学習にも対応できるとされます。
機械学習の種類と活用例
ここでは機械学習の活用例を紹介します。
画像認識
画像認識は、画面に表示された画像が何を表しているのかを判断する技術です。AIに画像のパターンをあらかじめ学習させることで判断します。
例えば「猫」を「猫である」と機械に認識させるために、膨大な量の「猫の画像」をAIに与える必要があります。しかし、AIが「猫」を覚えた後は、猫の画像を読み込んだときに「猫である」と認識することができるのです。
実際のビジネスシーンでは、一度に複数種類の商品が流れる製造ラインで商品を瞬時に判別して品質チェックを効率化する等、さまざまな利用が進んでいます。
音声認識
音声認識は、人の声などをコンピューターに認識させ、何を意味するか判別する技術です。
例えば、「故障について聞きたい」というユーザーの問いかけに対し、音声を自動で認識して修理部署へ電話をつないだり、声の特徴から本人確認する場合に使われています。
自然言語処理
自然言語処理は、会話の音声や手書きの画像を言語化するシステムです。
高度な学習によって、曖昧な表現や同音異語なども判断し、自然な会話を分析できます。また、多言語に対応するAI翻訳ソリューションや、診療時の会話を電子カルテに文字として変換する等、カスタマーサービス、医療現場などでの人手不足解消や人々のコミュニケーション促進に役立てられています。
予測技術
予測技術とは、蓄積されている過去の情報を学習させ、未来に起こり得る可能性を予測する技術です。
気象予報や事件事故の予測、人流データによる混雑予測、購入履歴をもとにした販促戦略等、身近なシーンで活用されてます。
異常検知
異常検知は、AIに正常な数値を記憶させ、そこから外れたデータについて「異常である」として検知する機能です。
「外れ値検知」「異常部位検出」「変化点検知」の3つがあり、不良品や故障の発見に用いられます。クレジットカードの不正利用の検出にも使われています。
【業界別】機械学習の活用例
製造
製造業界では、機械学習は、不良品の検知や設備のメンテナンス、売上予測などさまざまなシーンで利用されています。
例えば、正しい製品データを学習させたうえで、製造物を画像やセンサーによって認識し、何らかの外れ値を認識した場合に不良品として生産ラインから自動的に除外する場合につかわれています。
また、過去のデータと現在の気候条件や経済状況などを学習させ、機械学習による売上予測をおこなうことで、過剰な製品供給のための無駄な稼働を減らし、計画的な生産・供給を実現できます。
医療
医療業界においてAI・機械学習はなくてはならない存在となっています。
CTやレントゲン等の検査画像やセンシングデータ、組織片や血液の採取データの分析結果から必要とされる治療を予測したり、医師の診断補助に使われています。
また、医療現場に不可避のヒューマンエラーを減らす取り組みも行なわれています。機械学習を取り入れることで傾向値を分析し予測に活かす等、機械学習を活用した医療支援は常に改良と研究が続けられている分野です。
小売
小売業界における機械学習の活用例として代表的なものは、需要や売上の予測です。季節や天候、曜日等の膨大なデータを学習させ、需要予測に活かされています。発注の最適化や過剰な供給による廃棄物削減など、小売業界をはじめとするサプライチェーン全体での無駄削減・コスト最適化に取り組まれています。
顧客の行動や行動の背景にある意図(インサイト)を画像や音声・行動データをAIで分析することで、売上予測の精度向上を実現したり万引き予防にも役立てられています。
飲食
飲食業界では、深刻な人手不足やSGDsの観点から再認識されるようになった廃棄ロス等の問題が顕在化しています。
すでに一部の店舗や外食チェーンでは、AIや機械学習を用いた人的オペレーション代替や、非効率な発注による経営損失の改善等、さまざまな場面で活用が始まっています。
AIを用いた需要予測による仕入調整をおこなって廃棄を減らした外食企業や、オンラインでのオーダーによって注文時の人的ミス自体を排除したり、一部のオペレーションを完全無人化して人手不足の解消につなげている店舗など、AIや機械学習を積極的に活用する企業も増えてきました。
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自社ビジネスに機械学習を導入するには
自社のビジネスに機械学習を導入するために必要な、段取りや視点を解説します。
目的や課題の明確化
まず、機械学習を導入する理由を明確にします。
AIや機械学習の導入プロジェクトを任された際「導入すること」が目的になってしまう場合がありますが、常に目的と課題に立ち戻ることができるようにしておくことが重要です。
機械学習で何を実現したいのか、導入した結果どのような課題を解決したいのか、そして何をもって導入が成功・失敗したとするのかといった基準を明示し、社内で合意を取っておく必要があります。
課題解決に必要な学習データを集める
機械学習には最初に機械に学習させるデータが必要です。目的に沿う課題を解決するために必要なデータが何かを見極め、あらゆる手段でデータを収集します。この時、AIにデータを学習させる期間やAIが担う範囲もあわせて検討しておきます。
プログラムの設計やシステムの導入
学習データを使ってAIを動かすには、AIのプログラミングをする必要があります。AI導入が新しい取り組みであるため社内に適任者がいない場合、プログラマーやエンジニアを採用する必要がありますし、AI のプログラミングツールやデータ活用するシステム等の環境整備も必要となります。
AIの発展と今後
諸外国と比較して日本のAI活用は遅れているといえます。しかし「国内法人におけるAI導入実態調査」によると、日本国内のAI投資は拡大傾向にあります。
これまで3回のブームを経て急速に進化してきたAI技術は、今後もめまぐるしい発展を遂げることが見込まれます。現状のAI技術を過信したり、過度の期待から幻滅したりせず、自社の課題を整理して課題解決に最短でアプローチするために必要な技術を検討することが肝要です。
まとめ
ビジネスシーンへのAI・機械学習導入は、今後も企業経営の課題解決や業績拡大への貢献が期待されています。データをAIや機械学習で活用することによって、コスト削減や人手不足、不良品検知の効率化や廃棄ロス削減にもひと役買うことでしょう。
AIや機械学習の導入は、新しく取り組む際には自社で行うのは難しいと言われます。どのような結果が出るのか分からないまま、AIからかけ離れた業界にAIの専門家を登用しなければならなかったり、システム環境を構築しなおす必要があり、プロジェクトが遅延することもままあります。
EAGLYSではさまざまな業界でのAI解析を支援してきました。事業アイデアの構想策定から具現化し、AIアルゴリズム設計まで支援してきた豊富な実績を活かし、AIに関するお悩みにお応えします。
どのようなことができるのか、何から着手すべきかといったお悩みから、プロジェクト進行中の困りごとや目的に沿ったデータセットについて等、さまざまな角度からご相談をいただきますので、お気軽にご相談ください。