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AIによる画像認識はビジネスでの活用が進んでおり、生産性向上やコスト削減などのメリットがあります。この記事では、AI画像認識の導入を検討している企業の担当者に向けて、画像認識の概要やAIを用いた画像認識の仕組み、ビジネスでの活用事例などを解説します。ぜひ参考にしてください。
画像認識とは
画像認識 (Image Recognition)とはパターン認識技術のひとつで、画像に写っているものをコンピューターや機械が自動的に識別する技術です。これは、指紋認証から顔認識に至るまで日常の多くの場面で利用されています。画像認識は、AIによるディープラーニング(深層学習)との組み合わせにより特に注目を集めました。
また、生活シーンのみならずビジネスにおいてもは積極的に活用されており、新しい価値の創出につながっています。近年では、AIを用いることで高精度の分析や予測、業務の効率化が実現しています。
画像認識技術の歴史
コンピューターや機械が画像を認識するためには高度な技術が必要です。そのため、画像認識技術は、長い年月をかけて少しずつ研究が進められました。画像認識の歴史を遡ると、1940年代に画像認識技術で最も古いといわれるバーコードが発明されています。その後、1960年代にはコンピューターによる画像認識が本格化します。しかし、当時のコンピューターは性能が低く高価であったため、人工衛星の画像解析といった限られた領域でのみ研究が行われていました。
2012年にはディープラーニングが登場し、コンピューターや機械の性能も大幅に向上しました。それに伴い、近年では画像認識技術の精度も飛躍的に高まっています。たとえば、2012年にGoogleはディープラーニング技術を用いて「AIが人間に教えることなく、自発的に猫を認識することに成功した」と発表しています。また、同時期に人間の顔を認識することにも成功しています。
ディープラーニングは、画像を比較して認識するテンプレートマッチング以上に高い認識率を誇ります。画像認識技術の研究は続いており、今では人間以上の精度とスピードを実現しています。
AIを用いた画像認識の仕組み
AIによる画像認識にはディープラーニングが活用されています。ディープラーニングは、人間の行動をコンピューター等の機器やシステムに学習させる機械学習の手法のひとつです。人間の神経細胞を模して作られたニューラルネットワークによって、大量のデータから自動的に特徴や規則性を抽出します。
ディープラーニングの技術を用いたAIに画像データを学習させると、AIが自ら判断して画像の取捨選択を行います。
AIによる画像認識の流れ
AIによる画像認識では、画像データを取得した後に必要な情報を抽出することで、AIがデータを読み取りやすくします。たとえば、画像に含まれる文字を読み取る際、余計な線が入っていると認識に誤りが生じる可能性があります。不要な情報を除去する前処理を行うことで、画像認識の精度を高められるため重要な工程です。特に、工場での異常検知のような緻密な作業に画像認識を活用する場合に不可欠な準備です。
AIを用いた画像認識をビジネス活用するメリット
AIを用いた画像認識をビジネスに活用すると業務効率化を実現できます。それまで人間が対応していた作業を自動化できるため、人手不足の問題も解消できます。
また、ヒューマンエラーを防ぐことも可能です。たとえば、工場での異常検知にAI画像認識を用いれば、設備の不調や突発的な故障を早期に発見し、重大なトラブルを未然に防止できます。さらに、大規模でミスが許されないようなインフラ設備での点検に活用すると、人間が行うよりも確実かつ正確に問題点を見つけることができます。
AI画像認識の種類
画像認識はさまざまな種類があり、画像の種類に応じて異なる技術が使われています。下記の表はそれぞれに活用されている技術の特徴についてまとめたものです。
種類 | 特徴 |
---|---|
顔認識(顔認証) |
人間や動物の目、鼻、口などのパーツを抽出して認識する |
文字認識 |
文字のデータを認識して解読する |
物体検知(物体検出) |
画像の中に写っている物体を見分けて必要な情報を抜き出す |
異常検知 |
正常な状態と異常な状態について学習したうえで、それぞれに照らし合わせて異常を検知する |
画像生成 |
大量のデータを学習し、画像の変換や、新しい画像の作成を行う |
AI画像認識のビジネス活用例
AIの画像認識の技術はビジネスの場でも多く用いられています。たとえば、車の自動運転やドローンによる農薬の自動散布などです。また、防犯カメラの映像から不審者や不審物を発見することも可能です。その他にも幅広く活用されているため、具体例を以下で解説します。
製造業での活用例
製造業では、AIを用いた画像認識によって不良品検出や異常検知の自動化が実現されています。工場内のカメラから画像データを取得・分析し、良品/不良品を正確に判別します。同様に、異常検知では設備の状態の良し悪しを自動でチェックでき、劣化を事前に予測し適したタイミングで点検を行うことが可能です。
また、今までの外観検査は少しのキズや欠けを目視で見つける必要があり、熟練の技術者でなければ難しい作業でした。AI画像認によってその作業が自動化されることで、そこに割り振る人員を削減することができます。そこで新たに確保できた人員を別工程に配置すれば、現場の人手不足解消にも繋がります。
物流業での活用例
AIの画像認識は、物流業での検品・梱包作業や入庫作業でも活用されています。従来の入庫作業では、人間が目視で商品のパッケージやタグ確認した上で、手入力でシステムへ情報を入力していました。
AI画像認識により商品特徴や梱包箱の大きさを自動で判断するだけでなく、システムへの商品情報登録も自動化できます。検品や入庫作業が効率化されるため、そこにかかる時間や人的コストを大幅に短縮可能です。
小売業での活用例
小売業においては、店内の状態を最適化するためにAIによる画像認識が活用されています。入店した客数や店内での客の動きを分析し、属性やエリアごとの滞在状況などを検出することが可能です。
これらの結果に基づいて、商品がより手に取られるようにレイアウトを変更したり、ターゲットに応じたPR戦略を立案できます。客観的なデータの活用が効果的なマーケティング施策や計画を実現し、売上向上につなげることができます。
また、AIの画像認識によりコンビニの無人営業も実現しました。店内のカメラで商品や客の動きを追跡し、商品を手に取って店を出るだけで自動的に会計が済む仕組みになっています。
AI画像認識をビジネス活用する際の課題
自社のビジネスにAIの画像認識を活用する場合、さまざま課題が想定されます。代表的な課題に以下のようなものがあります。
導入目的の明確化
導入に向けて、自社のゴールを明確にしておく必要があります。AI画像認識の導入によって何を実現したいのか、どういった業務を改善していくのかといった目的を事前にすりあわせておくことが大切です。これによって導入後の方向性が掴めるため、自社に適した製品や必須条件が見えてきます。
責任の所在を明確化
AI画像認識を活用するには社内環境の整備が重要になります。具体的には、CPUやメモリといったハードウェアの調達や社内ルールの策定です。特に、社内ルールの策定は丁寧に進める必要があります。
例えば、AIの責任の所在を明らかにしておきます。事前にルールを展開しておかなければ、AIによる情報漏洩やシステムトラブルといった損害が生じた場合に、誰が責任を取るのかわからなくなる可能性があります。トラブルへの対応が遅れてしまうと、企業として信頼を失う可能性もあります。
社内でルールを決定しておくことで、AIによるトラブルが起きたとしても迅速に判断・対応を行うことができます。
AI人材の確保
AI画像認識を思いどおりに活用するための知識やスキルを持った人材の確保も課題です。
近年AI画像認識に関連するサービスや情報が多く出回っており、どういったものが費用対効果を高めるのか不安に感じる方も少なくありません。また、検討を進める中でパッケージ製品の提供を受けた場合には、自社の状況に合わせてどのようにカスタマイズするか考える必要があります。AIや画像認識に詳しい社員がいると、そういった不安や疑問点を解消することができます。
そういった方が社内にいない場合には、外部の会社に委託するという選択肢もあります。一連の業務を外部のスペシャリストに委託すれば、スムーズな活用が実現可能です。EAGLYSでは、AIプロジェクトの目的に合わせて伴走して課題解決をします。お気軽にご相談ください。
AI画像認識技術は今後も進化すると考えられる
AI画像認識の技術は進化しており、ますます精度が高まっていくと考えられます。そのため、今後はより幅広い分野や業界でのAI画像認識の活用が期待されます。AIの画像認識の活用方法は多様で、サービスや商品の品質向上、業務効率化、コスト削減に一層役立つと考えられます。
自社のビジネスの成長に役立てるためには、AIの画像認識について理解を深めたうえで、目的に沿った効果的な活用方法を検討する必要があります。
まとめ
AIの画像認識技術をビジネスに活用すれば、さまざまなメリットがあります。ただし、自社の目的を実現する手段は画像認識だけではありません。状況によって他の方法が適している場合もあるため、慎重な判断が必要です。
EAGLYSでは、高精度画像認識AIにより省人化や業務効率化などを実現可能です。数万点レベルでも識別できる独自のアルゴリズムを設計した実績もあり、世界トップ水準の速度と精度を誇ります。
実際に高精度画像認識AIを生成した事例もあります。物流工場内での仕分け・検品作業を産業ロボとAI画像解析製品を組み合わせ、作業を自動化しようとしたケースで、高精度画像認識AIを生成しました。
構想策定から協働してアイデアを具現化できますので、自社に適した製品や手法を知りたい方はぜひご相談ください。