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AI(人工知能)でできること|メリット・デメリットや6つの業界別導入事例も紹介

AIは身近な商品・サービスに活用されており、その認知度は高まりつつあります。多くの業界で導入・運用が進んでいて、これから導入を検討している企業も少なくありません。この記事では、AIの導入を考えている企業の担当者に向けて、AIでできることやメリット・デメリットなどを解説します。業界別の活用事例も紹介しているため、ぜひ役立ててください。

AI(人工知能)とは

AIは「Artificial Intelligence」を略した言葉で、日本語で人工知能と訳されています。研究者によってAIの定義が異なることから、明確な定義は定められていません。あえてAIを定義付けするなら、人工知能学会のAIを紹介する解説が参考になります。人工知能学会ではAIという言葉を生み出したジョン・マッカーシー教授の言葉を日本語に訳して、「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」とAIを紹介しています。

 出典:https://www.ai-gakkai.or.jp/whatsai/AIfaq.html

AIと機械学習・ディープラーニング(深層学習)との違い

機械学習とディープラーニング(深層学習)はAIと混同されることが多くあります。機械学習とディープラーニングは、どちらもAIの学習方法を指します。それぞれがどのような学習方法なのか、以下で解説します。

機械学習とは


機械学習は、人間がコンピューターに学習データを与え、データに特徴を学習させる技術です。たとえば、顔認証システムではAIに画像の色の違いを認識させ、一定の法則に従って分類できるように学習させています。
 

ディープラーニング(深層学習)とは


ディープラーニング(深層学習)は、コンピューター自らがデータから読み取れる法則性や意味付けなどを判断・分類する学習方法で、機械学習の手法のひとつです。しかし、機械学習とは、データの特徴を学習させる方法が大きく異なります。機械学習では人間がAIにデータの持つ特徴を教える必要がありますが、ディープラーニングはAIがデータの特徴を判断します。そのため、ディープラーニングは、画像認識や音声処理のように人間がデータの特徴を掴みづらい抽象的なデータも扱うことができます。 

AIができること

AIを導入するとどのようなことが可能になるのか、具体的にAIができることを以下で解説します。



画像認識


画像認識は、画像の中に映っているものを認識する技術のことです。以前は精度が低い技術でしたが、ディープラーニングの登場によって大幅に精度が向上しており、細かい特徴やキズなどを検出することができます。たとえば、製造業の外観検査にAI画像認識を導入すれば、人間の目で見つけるのが難しいキズや欠陥を見つけられます。また、生産ラインの異常検知に用いれば、流れてくる製品や部品の異常を早期に検知します。

※AI外観検査についてはこちらで詳しく解説しています。

音声認識


AIは音声認識に役立てることも可能です。たとえば、収録した音声データを認識させれば、テキストデータに変換します。この技術は、スマートスピーカーや議事録の自動作成ツール、音声アシスタントなどに活用されています。

予測


AIは過去のデータを元に、将来の予測を行うこともできます。たとえば店舗の売上予測では、需要の変化や売上、顧客の属性、天気といったデータをAIに学習させることで、高精度での売上予測が実現します。その他にも、在庫管理にAIによる予測を用いればデータに基づいた受発注が可能になります。
 

自然言語処理


AIは、自然言語処理を行うことができます。自然言語とは、私たちが日常で用いている日本語や英語といった言葉のことです。AIに自然言語のデータを認識させれば、特徴の解析・処理が可能です。近年では、AIチャットボットや文章の要約ツールなどで活用されています。

推論・探索


AIは、推論や探索が得意です。一定のルールを学習させることで、問題の解決に適切な回答や対策をスピーディーに導き出してくれます。今日では、オセロやチェスといったボードゲームの対戦ができるAIが開発されており、人間を打ち負かしたものも登場しています。 

現状AIが苦手とされている分野

AIはさまざまな得意分野をもっているものの、苦手な分野もあります。たとえば、臨機応変な個別対応やクリエイティブな活動です。どちらも機転や創造力といったデータで表せない能力が求められるため、AIよりも人間が得意とする領域です。また、相手の表情を読み取り、場の空気を読むといった、人の感情を読み取ることもAIが苦手とするところです。表情や前後の文脈など多くの情報から複合的に判断することが求められるので、相手の感情を読み取るのは人間のほうが適切に対応できます。

AI導入のメリット・デメリット

企業がAIを導入した場合にはメリットはもちろんデメリットも存在します。それぞれ以下で詳しく解説します。

AI導入のメリット


AIを導入する大きなメリットには、業務を効率化できる点があげられます。データに関連する単純作業などAIが得意とするタスクを任せれば、人間よりも確実に速いスピードで進めることができ、自動化できる業務を積極的にAIに頼ることで、人手不足の解消にもつながります。AIの役割が増えれば、それまでと同じ業務量を少ない人数で回せるようになるため、会社全体の生産性の向上を目指すことも可能です。

AI導入のデメリット


AI導入のデメリットとして、情報漏洩のリスクがあげられます。AIに学習させる顧客情報や機密情報をクラウド上で扱うことがあります。クラウド上にデータを置く際、ネットワーク通信中の外部からのハッキングや人的ミスによる情報漏洩が発生する可能性があります。そういった問題の防止に向けて、事前に情報セキュリティ対策を行う必要があります。OSやソフトウェアを最新状態にするといった脆弱性対策だけでなく、万一の場合を想定してデータを暗号化状態に保ち、暗号化したままでもデータを分析できるよう、秘密計算技術を活用するなどして万全な準備をしておくことが重要です。

※秘密計算技術はこちら

AIのこれから

近年AIは急速に発展し注目を集めています。今後どのように進歩し、どのようなニーズが期待されているのか、AIの将来について解説します。

AIは日々進歩している


AIは今もなお進化し続けているため、先述の苦手とされている分野でも活用できる可能性があります。近い将来、AIはさらに活躍の場を広げていくと考えられています。

ビジネスでのAI導入は今後も拡大


今後、少子高齢化による労働力不足を解消する動きが一層高まっていくと考えられます。こういった問題の解決策として、AIが寄与することが期待されています。AIは、あたかも人が考えたかのように判断や分析を行えるため、従来は人間が行っていた業務がAIに移行される可能性が高まり、ビジネスの場でのAI活用はさらに進むと考えられます。

実際に、AI技術によって無人コンビニが実現された事例もあります。このようにAIが業務を全面的に代替するケースも増えていくと考えられます

6つの業界別AI活用事例

AIの活用事例を業界別に紹介します。自社のイメージに近い活用方法を見つける際にお役立てください。

製造


製造業界には、グローバル企業との競争やデジタル人材の不足、技術の継承といった課題があります。

ある企業では、製造過程における工具の金属疲労を、熟練技師の経験から予測していました。そのため事前に検知できない場合もあり、機器が故障した際の対応に悩まされていました。AI数値解析技術を工場に導入したところ、不調の早期検知が実現され適当なタイミングでメンテナンスが行えるようになりました。

※製造業でのAI活用事例はこちら

物流


物流業界の課題として、労働人口の不足やオンラインショッピング利用者数の増加にともなって物流量が増大し、労働力が不足しています。この課題解消を目指し多くの物流センターによって省人化や無人化が実現されてきています。某社では、商品が数万点単位で流れてくる仕分けレーンにおいて、高精度で画像認識ができるAIをゼロから設計しました。その結果、従来のものでは難しかった大規模なセンターでAI画像認識が活用され、在庫管理や仕分けシステムとの連携により無人化が実現しています。

※物流業でのAI活用事例はこちら

 

商社


化学品商社の業界では、長年、素材開発や触媒の研究に費やすコストが問題視されてきました。従来の素材開発の研究は、実験の方針や論文・過去の成分調査結果をどのように使い、どれだけの素材を集めるか等、ほとんどの行程を技術者の能力に依存していました。その結果、何千回と実験を重ねるケースもあり、一つの素材を完成させるまでに気の遠くなる時間とコストを要していました。

この課題を解決するため、化学品商社や各調査機関は、過去の論文や実験結果等の膨大なデータを集約し、AIによって成分の検証や実験の効率化をおこなうマテリアルズインフォマティクス(MI)に取り組んでいます。

すでに一部の企業では実績も発表されており、タイヤメーカーが新素材の開発を行ったり、化学薬品商社が酵素開発を効率化したという例も発表されています。

このように、AIを用いたマテリアルズインフォマティクスによって、要する時間・コストを大幅に削減できるようになりました。

※商社・卸業でのAI活用事例はこちら

交通


交通業界は、メンテナンス時に必要な部品の発注量/在庫量の最適化や交通データを利活用する際のセキュリティなどの課題に直面しています。業務で使用されるタクシーやバスなどの車両は、定期的に部品を交換しなければなりません。ただ、交換する頻度が低い部品は需要予測が高度になるため、在庫管理を適切に行うことが難しくなります。そこで、AI数値解析を導入して様々なデータから需要を予測することで、部品の発注業務の標準化や部品不足の解消を実現することができます。 

※交通業でのAI活用事例はこちら

金融


金融業界では、不正取引の増加や、特殊作戦の高度化だけではなく、自動化しづらい業務を人手でこなしてきました。中でも、窓口業務や与信判定に人手がかかりすぎることが課題でした。あるフィンテック会社では毎日数千件を超える与信判定を人手で行っており、業務効率化が進められていませんでした。そこで、過去の不正や正常判定に関するデータを学習させたAIを導入したことで、与信判定業務の一部の自動化に成功しています。その結果、人が判断しなければならない件数を大幅に削減でき、1日あたり25%の業務コスト低減を実現しました。 

※金融業でのAI活用事例はこちら

医療


医療業界は人手不足や医療負担の増加といった課題に直面しており、AIを活用した医療診断やリモートへの移行などのニーズが高まっています。実際に、AIによる画像診断システムに一部の検査業務を任せることで、人間が見つけきれない小さな異常や見落としを防ぎ、医師の業務負担の削減に活かされています。

※医療業でのAI活用事例はこちら

まとめ

近年、AIが活用される領域が広がっており、研究開発に取り組む機関や導入に踏み切る企業が増えています。しかし、多くのAIは業務の一部を代替するもので、すべての工程をAIに置き換えられるわけではありません。AIを有効に活用するには、自社のニーズにあわせた運用や知識をもつ人材が不可欠です。

EAGLYSのAI解析サービスは、業務の効率化や無人化、需要予測の精緻化などを支援するサービスです。AIアルゴリズムの設計技術を用いて構想の策定から関わり、アイデアを具現化します。AIの導入を検討しているなら、ぜひお問い合わせください。

 

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