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AIとは人間の知能を模して、学ぶ機能を持ったコンピュータのことです。AIを自社用に開発すれば、業務効率化や自動化はもちろんのこと、商品の品質向上や事業改革に活かせることから、さまざまな業界で注目を浴びています。
この記事では、自社の業務における生産性向上やコスト削減、ビジネスの成功を目指すマネージャーや経営層の人に向け、AIの種類や開発などについて解説しています。ぜひ参考にしてください。
AIとは人工知能とも呼ばれており、人間の知能を模して学んだり考えたりするように作られたコンピュータです。「AI」は「Artificial Intelligence」の略称ですが、AIの定義は明確に定まっていません。
AI研究は1950年代から始まっており、何度かのブームを経て現在の形にまで進化してきました。現在AIは人間の脳構造に似せた学習機能を実装し、最初に与えられたデータを基に自ら考えて動く機能をもつことで、人間の負担を軽くし、仕事効率を高める役割を果たしています。
AIには機械学習(マシンラーニング)と深層学習(ディープラーニング)の2種類があります。
機械学習は、人の手でたくさんの具体的事例を覚えさせ、さらに個々の事例が持っている特徴も人間の手によってインプットするタイプのAIです。結果的にAIがインプットに従った動作を行いますが、定義づけはあくまでも人によって行われます。
一方の深層学習は、機械学習の一種ではありますが、個々の事例がもつ特徴をAIが自動的に判断し、自分自身の判断結果にもとづいて動作を行えるAIです。
ビッグデータとは「大量の、多種多様な、高頻度で更新されるデータ」のことです。
ビッグデータの定義は、何のデータであるかは関係なく「量が多く」「種類豊富で」「更新速度が速い」の3点がビッグデータと判断される条件とされています。
たとえばSNS上の投稿、小売店の売上や顧客データ、交通量や人々の移動距離などもビッグデータの一部です。AIとビッグデータ双方の活用で、さまざまな予測が可能になります。
AIの応用によって予測・分類・実行が可能になります。これらはどれも積極的なビジネスに必要不可欠な要素です。
AIではビッグデータをもとにした数値予測、売上予測などが得意です。たとえば日時や気象条件から、いつどのような売上が立つかを高い精度で予測することができ、的確な販売戦略の策定に結びつけることができます。
また、分類業務や顧客対応についても応用されています。AIが自動的に事象の分類や顧客の状況判断ができるため人的資源の節約など、幅広いビジネスシーンで役立てられています。
AIの開発に欠かせない段階として、構想・PoC・実装・運用の4つのフェーズがあり、局面に応じて開発作業を進めなくてはなりません。ここでは、AI開発の初期段階とも言える構想フェーズについて解説します。
まずは現状の課題の洗い出しを行い、解決すべき内容を明確にします。
課題を明確化する際の注意点にAIを目的化しないことが挙げられます。AI活用を課題解決の目的に置くのではなく、課題解決に必要な手段としてAIを活用する視点をもつことが重要です。
社内の課題を洗い出す際に、複数の課題が明らかになるケースも多々あります。複数の課題がある場合は、解決する優先順位を決めて取り組みます。
その際の判断基準としては、課題解決により効果が出るのか、AI以外の方法による解決は困難なのか、といった点が肝となります。AIが実装されるまでにかかる時間やコスト、対応の緊急性などの費用対効果を見通した検討が必要です。
優先順位が高い課題について、その課題がAIで解決できるものかどうかをあらためて検討します。AIは、数値などデータで取得できる情報の分析や状況の判断、その対応を得意としているコンピュータです。データ分析がまったく絡まない課題であれば他の解決方法を検討します。また、課題によっては既存のプログラムの改修で事足りるケースもあります。
ROIとは「Return On Investment」の略で、投資に対する利益がどの程度になるかをパーセンテージで計算した数値です。「投資利益率(収益率)」と訳されています。
具体的には、プロジェクトごとにかかる費用を見積もり、運用上問題ないかを判断するプロセスです。ROIを見直すことで、AIの活用によってどれだけの利益が想定されるかを実態に即して検討することができ、導入メリットを具体的な数値で予測できるようになります。
利益が上がりそうだという想定ができたら、開発プロセスを洗い出します。必要なタスク・人材・計画を明確にして、開発を始めるための準備を整える段階です。
AI開発には、専門的な知識や技術と人的リソースが必要となります。自社でそれらの専門性をもった人材がまかなえない場合、AI開発支援サービスを利用するのも有効です。
PoCとは「Proof of Concept」の略で、開発理念の実現可能性や、成果が実際の利益にどの程度つながるかを検証することです。「概念検証」と訳されています。
AI開発においては、構想したAIが技術的に実現できるのかどうかの検証が必要です。実際にモデルとなる小規模システム(モックアップ)を制作し、データを与えて分析させ、予想したような結果が得られるかどうかを検証していきます。
このPoCフェーズの状況や検証結果の判断次第でプロジェクトの進行が中断する可能性が高く、AI開発においては非常に重要な局面になります。
検証でAIがよい効果を発揮するとの結果が得られた場合、次はPoCにより検証したAIを完成させ、実務で稼働させる段階です。これを実装フェーズと呼びます。
実装フェーズの流れとしては、システム開発と同じく要件定義から設計を行い、開発・テストを繰り返して実装へと持ち込みます。ただしAIの実装には機械学習が必要なため、機械学習を行わせるデータの種類、データ処理方法、最終的に得るデータの方式などをあらかじめ策定しておく必要があります。
運用フェーズは、開発したAIを有効活用する段階です。開発したシステムを実際に運用し、さらに残された課題について解決方法を模索していきます。
ここでは、構想した課題解決ができているのかどうかを確認します。AIが正常に稼働するためには多くの継続的なデータが必要なため、データの量や質に対する評価をシステムの運用保守と同時進行で行います。
AIの運用フェーズでは、大量のデータが正常に処理されているかどうかを精査する必要があります。エラー発生の原因究明と改善を繰り返し、常にデータの精度を高めることで効果的なAIの運用が可能です。そのためにも、成果を定量的に評価するためのKPIをあらかじめ設定しておきましょう。
また、一般的にAIはデータ量が不足すると精度が低下するため、十分なデータがない場合にも対応できるAIの採用を検討するのもおすすめです。
AI開発を成功させる一番のポイントは、目的を明確化することです。目的が明確に定まっていなければ、PoCの効果が得られたかどうかの判断が正しく行えません。一方で、AI開発ではPoCの失敗によりプロジェクトが断念されるケースもあります。
PoCの困難さに課題を感じるのであれば、AI開発事業会社に依頼するのもおすすめです。開発事業者を選ぶ際は、AI開発における認識の乖離が起きないよう、開発方針を自社と共にすり合わせしてくれる企業を選ぶとよいでしょう。
具体的なAI開発の事例として、EAGLYSの画像解析サービスの例を解説します。AI運用のイメージをつかんでみましょう。
物流業界では深刻な人材不足を解消するため、AIの導入が各企業で進められています。某物流会社でも、工場や物流センターでの無人化・省人化に向けて、AIによる画像解析を活用しました。
AIを採用したカメラを利用することで既製品カメラよりも商品の判別精度が向上し、出荷判定や仕分けの効率化に成功しました。また、在庫管理システムの入力業務などもAIを使って自動化させたことで、物流センターの無人化が可能になりました。
年間10万件以上もの中古車査定を目視で確認していた某中古車販売会社は、査定師一件あたりの工数増加に課題を抱えていました。AIの画像解析技術を用いたことで、大量の中古車画像を学習させ、自動で中古車の傷の部位を検知できるようになりました。その結果、画像解析から中古車の査定金額の算出業務を自動化することができました。
AIを活用すれば大量のデータをもとにさまざまな行動や判定を行うことができ、正しく運用すればビジネスにも役立ちます。自社に役立つAIを開発するためには、解決すべき課題からAIの構想を策定し、具体的な開発と実装、運用後の検証までを継続して行わなければなりません。
AI開発・運用に豊富な実績をもつEAGLYSでは、お客様の事業に関して構想策定から協業し、様々な場面で要求されるアイデアを具現化することが可能です。業務の効率化や課題解決には、確かな技術に基づいた最適なAIアルゴリズムの設計が必要です。まだ具体化されていない構想段階からのご相談から承っておりますので、AI活用を検討している方はお気軽にお問い合わせください。