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AIは企業の作業効率化や、新たなビジネスモデルの創出に必須といえます。この記事では、AIの概要や仕組み等を解説します。AIの活用事例や、導入における注意点も解説するため、自社にAIを導入したい企業の担当者は、是非参考にしてください。
AIは「Artificial Intelligence(人工知能)」の頭文字をとったものです。具体的には人間にしかできないとされていた、データから情報を読み取り、傾向や予測を推察するといった行為をAIが代替します。
AIには大きくわけて、「汎用型人工知能」「特化型人工知能」の2種類があります。それぞれどのような特徴があるのか解説します。
特化型人工知能 |
汎用型人工知能 |
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別名 |
弱いAI |
強いAI |
内容 |
・特定条件や範囲のみで活用できる ・将棋やチェス等のゲームで利用される ・プログラム範囲外の状況は対応できない |
・人間のような自意識を持つ ・自立して柔軟に判断できる ・現在も開発中 |
汎用型人工知能は、人間のような自意識をもち、自律的かつ柔軟に判断・行動するAIのことを指します。この特性から、人の心をもつAIとも称されています。ドラえもんやターミネーターのような、近未来の人型ロボットをイメージするとわかりやすいです。
汎用型人工知能が開発されれば、機械がもつ正確性と人がもつ柔軟性をあわせもつため、広い範囲での活用が予測されます。しかし、2022年4月現在では、いまだ研究中であり、実現していない状況です。
特化型人工知能は、特定の条件や範囲にのみ活用できるもので、「弱いAI」「人の心をもたないAI」などとも呼ばれます。具体的には、音声認識、自動運転、ゲームのコンピュータ対戦などが代表的です。
特化型人工知能は、特定の与えられた仕事は自動的に処理できますが、プログラムの範囲外の出来事、想定外の状況には対応できません。現在、企業や家庭内で使用されているAIは、この特化型人工知能に該当します。
AIは人間の脳の仕組みを、コンピュータにて再現したものです。人間の脳は、目や鼻、口、皮膚などの感覚器官から得られた情報を脳内で処理し、過去の記憶や経験を照らし合わせています。
AIも、センサーなどから得られた情報を、膨大なデータからつくられたアルゴリズムに照らし合わせ、最適な行動を選択します。過去のデータを照らし合わせることにより、新しいデータに対しても識別や予測が可能です。
AIは機械学習とディープラーニング(深層学習)という2つの仕組みに支えられています。それぞれどのような仕組みか解説します。
AIは過去の膨大なデータを学習することにより、精度の高い判断や推測ができるアルゴリズムをつくりだすことをいいます。機械学習の技術を使用してAIをつくり出すためには、データを分析するための線形代数、確率、統計学、微積分といった数学分野の知識が必要です。
データを処理するトレーニングを重ねることで、特定のタスクに対する処理の精度が高まります。
深層学習も機械学習の一種ですが、人間の脳のようなニューラルネットワークというアルゴリズムを用いています。深層学習では数値化や特徴の抽出まで可能ですが、深層学習のない機械学習ではさまざまな数学の知識が必要とされます。
これにより、人間が扱いにくいようなデータを使用して、抽象的な答えを導くこともできます。通常の機械学習よりも事前準備が少なく済む点が大きなメリットです。
AIに機械学習させる方法として、教師あり学習、教師なし学習、強化学習の3種類があります。
教師あり学習は、正解のデータを事前に教えておく仕組みです。ディープラーニングもこの教師あり学習の仕組みを採用しています。
教師あり学習は、大きく分けて回帰と分類の2つにわけられます。回帰とは、企業の売上予測にも使用される分析方法で、連続した値の傾向から、別の数値を予測する方法です。分類は非連続の値から境界線を導き出し、数値をわけます。迷惑メールを自動的に振りわけるときなどに使用されています。
教師なし学習では、正解のデータを使用せずに学習させる手法です。たとえば、データの構造や特徴が似ている部分を探し出し、そこを抽出しパターン化する仕訳方法などが教師なし学習に該当します。
コンピュータ自身でデータを振り分け、頻出パターンを見つけ出すために教師なし学習を利用します。購買されやすい商品、購入が多い曜日や時間を導き出したいときなど、正解が何かわからないときに有効です。
そのほか、人工歯デザイン、原因がわからない異常を検知する等に役立つ学習方法です。
強化学習はAIが注目される前から存在するもので、数ある選択肢から最善な選択をしたいときに使用します。出力結果をスコア化し、最も高い結果を出すものはなにかを抽出する学習方法です。おもに、囲碁や将棋、チェスなどのボードゲーム、自動運転で活用されています。
具体的には、エージェントという主体が行動した結果をスコアで評価し、その評価が高いほど報酬としてフィードバックされるような仕組みです。エージェントは、より高い報酬を得るために、どの行動が最適化か試行錯誤します。
AIは、さまざまな場所で活用されています。ここでは、代表的な活用方法を2つ紹介します。
AI画像認識とは、AIが画像内に写っているものの特徴を認識・分類し、特定の人やものを判別する機能です。AIなら人間には見分けがつかない軽微な違いも検知するため、レントゲンから病理を発見するような医療現場でも活用されています。膨大なデータを蓄積すると精度が高まります。
チャットボットとは、会話ができるロボットのことです。AIチャットボットは、聞かれたことに対して何を回答するのか学習し、人間と会話しているかのように答えを出します。多くの質問や回答を学習することにより、通常想定しないような幅広い表現方法にも対応可能です。企業のカスタマーサポート、社内ヘルプデスクなどで使われています。
AI需要予測とは、過去のデータから規則性や法則を抽出し、そこから未来を予測するものです。気象予報や渋滞予測など、変動しやすい要素であっても、ある程度正確な予測を導き出せます。今後の需要を予測できれば、仕入れ、生産、販売、人員配置、設備投資、資金調達などの計画を立てやすくなり、ムダを削減できます。
また 精度を保つためには、運用設計やモデルマネジメントの仕組みも導入することが重要です。
総務省では、AI活用における自社サービスの付加価値向上を目指してガイドラインを発表しています。G7情報通信大臣会合では、日本はホスト国としてAI開発を紹介するなど、技術的な側面で世界を主導していると発表されています。また、OECDの協力により、世界を巻き込んだ技術開発も進められています。
さらに、2019年に国内事業者に向けて、AI導入で留意すべき事項をまとめた「AIガイドライン」を公表しました。翌年の2020年7月には、国内事業者にAIに関する取り組み、事例をまとめた「報告書2020」を公表しています。
これらのガイドライン、報告書を通して国内事業者の「安心・安全で信頼性のあるAIの社会実装」の推進に向けた取り組みを実施しています。
AIを導入するときの注意点について、機械学習と深層学習にわけて解説します。
機械学習を行うときは、事前に学習データを整備することが欠かせません。そのため、過去にデータや学習パターンがないケースでは、正しい認識や判断ができない場合があります。
また、膨大なデータ収集を要する性質から、外部から攻撃を受けると大規模な情報漏洩につながるので注意が必要です。このようなセキュリティリスクには、秘密計算ソリューションで対策しましょう。
また、機械学習の思考プロセスは不透明であることが多く、業務管理をAIに依存することにも注意が必要です。
深層学習は通常の機械学習と比べて、短時間で結果が出ません。そのため、導入から効果が現れるまで時間がかかることを留意しておきましょう。
また、深層学習は開発のためのマシンリソースのほか、設定や開発を行うためのエンジニア、データを活用するためのデータサイエンティストなど、専門知識をもつ人材が必要です。このようにさまざまコストがかかる機械学習であるため、本当に必要かどうか慎重な判断をしなければなりません。
自社課題に合ったAIを導入するためにも、精通した企業に相談する必要があります。
AIの仕組みについて理解が進んでも、実際に導入する際には、どの種類のAIが必要か、といったさまざまな決断を迫られます。AIに関する専門知識がないと、判断が難しい項目も多いため、専門知識を持った企業に相談すると良いでしょう。
EAGLYS株式会社はAIサービスを提供しています。AI導入の構想策定から協働してアイデアを具現化し、たしかな技術でアルゴリズム設計を行うため、安心してAI導入を推進できます。さまざまな種類のモデル設計もできるため、まずはお気軽にお問い合わせください。