EAGLYS株式会社 Tech Unit Encryptionグループマネージャー
大学生2〜3年生の頃に講義で暗号理論の基礎に触れ、それまで学んできた数学が実社会へダイレクトに応用されていることを知りました。それをきっかけに暗号に対して関心が深まり、大学院の修士では暗号理論の研究室に所属したんです。EAGLYSには新卒時に入社し、今は仕事と並行して社会人博士課程にも在籍しています。
現在は、EAGLYSの暗号グループでマネージャーを務めています。EAGLYSは「AI×秘密計算」をコア技術に持つ会社で、その秘密計算の基盤を担うのが暗号グループです。業務内容としては論文のサーベイ、アルゴリズムの考案と実装、その成果の論文発表、アプリケーションの実装といったことを日々行っています。
数学やアルゴリズム、暗号理論には、それ自体の魅力もありますが、それがどう応用されるかにはまた一味違う面白さがあります。論文上ではその理論がどれだけ優れているか分からなくても、それを実装することで技術のリアルな現在地が分かります。理論から実装までを通して、一つの研究だと私は捉えているので、そういった意味で実装まで踏み込めるEAGLYSの仕事は性に合っていると感じていますね。
これは私だけではなく、EAGLYSの暗号グループ全体で大切にしている考え方です。理論寄りのメンバーも実装し、実装寄りのメンバーも理論に取り組む。理論と実装を切り離さず、実装でボトルネックになっている部分は、理論で解決していきます。
また、暗号グループでは、学会などの対外発表も重視しています。学会発表は新しい技術や結果を外に発表する場であると同時に、これまでの知識や経験を体系化する場です。自身の実績にもつながりますし、研究は発表までがワンセットだと考えています。
研究の道には、大学に残る、研究機関に進む、企業で研究するなど、さまざまな選択肢があります。その中でもEAGLYSでの研究は、裁量が大きい選択肢だと考えています。例えば新しい研究テーマを思いついた際に、暗号グループ全体でディスカッションをするなど、EAGLYSは業務と並行してその研究に取り組める環境です。暗号でこういったことをしたい、自分のアイデアを深く追究したい、暗号に関わりながら見識や技術を深めたい……といった志がある方には、かなりおすすめできる進路ですね。
準同型暗号はやるべきことがまだまだある分野なので、やらされていると感じてしまうと、きつい仕事が続くだけになると思います。そのため、自分が興味を持ったことを楽しんで取り組む姿勢が大切ですね。
2026年、EAGLYSは設立から10年を迎えます。準同型暗号の実用化には難しい部分も多く、会社として試行錯誤を重ねてきました。近日公開予定の秘密計算OSSには、そうしてアップデートを続けてきた知見を注ぎ込んでいます。OSSは作って終わりではなく、何より大事なのは使っていただくことです。アカデミアの方にもビジネスの方にも使っていただけることを第一に考え、より使いやすく、より速いものへと改良を続けていきます。まずは、アカデミアで広く使われる標準的なOSSとして認知されることが一つの目標です。
繰り返しになりますが、準同型暗号は新しい技術によるブレイクスルーが頻繁に起こる分野で、今当たり前の技術が1年後には古いと言われます。アカデミアの動向を追い、それを自分のものにできる研究者は欠かせません。だからこそ常識にとらわれず、自分の技術や知識を日々アップデートできる方が向いていると思います。そんな方と一緒に、秘密計算の研究と社会実装を前に進めていけたら嬉しいです。
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